富士山 (3776m)
 12月下旬、冬の富士山を楽しみため山の好きな仲間5人で、新宿を午後出発して河口湖駅に16時ごろ着いた。 マイクロタクシーを頼んで5合目(2300m)へ。新雪が降った道を佐藤小屋を目指して歩行、 小屋より少し上部で幕営する場所を探す。
暗くてよく判らないが、雪の上を歩行すると、キュッキュッと鳴き砂の様に締まる音がする。平らな場所を探して テント設営にかかる、まず雪固めをしようと全員で雪踏みしたが、いくら踏んでも雪が固まらないし、お手玉にもならない。 手で雪を掬っても精製糖のようにサラサラと流れ落ちる。気温が-10℃以下になれば起こる現象だと気がつく。
夕食の後すぐ就寝に入る、当たり前のことだが登山靴とアイゼンバンドをシュラーフの中へ入れて抱いて寝る。 朝7時にテントを出て、吉田大沢を少し登り、低酸素と寒さ慣らしをしながら雪上訓練。午前はアイゼンとピッケルを使った 歩行訓練や滑落停止練習、午後は山岳スキーで楽しんだ。
3日目はAM 2時に起床、AM 3時にテントを出発、いよいよ冬の富士山に登攀する。昨日訓練した大沢を登る、 適当に雪が凍っていてアイゼンの利きがよい。富士山の有名な突風もなく快適な登りが続いたが、寒さは昨夜から更に増している。 登り傾斜角度が増してきた7合目付近(2700m)で雪渓から夏の尾根道に移ったが、アイゼンとピッケルを使っての登りなので ジグザグの夏コースでなく直登に近い氷結したルートを選んで高度を上げた。8合目(3374m)の石室を過ぎると、 薄明かりの中に、山頂の岩稜が雪に覆われているのが見えてきて一段と足が進むようになった。
9合目(3576m)を過ぎると、登り傾斜が前にも増してきつくなり斜面はアイスバーン状態になっている。ここまで来ると 酸素濃度が少ないのが体感できる。久須志神社の鳥居をくぐり、白山岳(3756m)の頂上にたどり着いた。 夜が明けた山頂で休息と考えていたが、寒さが強烈でおまけにときどき突風が吹くようになってきた。 ここからの眺望は抜群で河口湖や富士吉田の街が手に取るように目に映る。テルモスの紅茶を飲んで、突風のため剣ヶ峯(3776m) へ行く予定を変更して、すぐに下山にかかった。
空には雲一つ無く天気は良いのだが、突風が頻繁に吹くようになってきた。姿勢を低くしなければ足元をすくわれそうな気分になる。 当初の予定では、久須志神社の近くから吉田大沢を降ることにしていたが、突風による滑落の危険と雪崩を避けて、 登ったルートをトレースすることにした。尾根道はアイゼンがよく効いて歩きやすいく、ぐんぐん高度を下げてきた。
幕営地のテントを撤収して、馬返を通過して富士浅間神社まで休みなしで突っ走った。あとは市街地を富士急富士吉田駅へ 急ぐのみとなった。今回の山行では、5合目近くで2泊して高度差と寒気に身体を慣らしたことがよく 5合目→頂上→富士吉田駅へと登って、降ったがダメージを受けるほどの疲労感はなかった。

@ 5合目(テント)→01.10→7合目→02.30→9合目(久須志神社)
  富士吉田駅←01.50←馬返←02.00←テント←01.30←8合目←00.20←久須志神社