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夜遅くJR中央線上松駅で下車、ここがスタート地点でザックを担ぎ今夜宿泊予定の敬神ノ滝小屋を目指す。無雪期に3回このコースを踏破
したが、いつも出足は日が暮れてから歩くので登山道に入るまでの道の記憶があいまいで間違えてばかり。 2月上旬の 20 時ごろの山間の町では道を聞くにも人が誰も歩いていない、適当に山に向かって歩いたがどうにも見当がつかなくなった。 思い余って一軒の民家の戸を叩き登山路を尋ねたところ、その家の人は「そのあたりに犬がいるから呼んでみなさい。その犬が登山路を教えてくれる」 と返答が返ってきた(顔はみえなかったが)。 なんのことかよく理解できなかったが、口笛を吹いてみた。すると何処からか1匹の茶色の雑種犬が現れさかんに尻尾を振る。 私が歩き出すとその犬は先に走って行く、広い河原で道がよくわからないところでは口笛を吹けば、すぐ戻ってきて待っている。 こんなことを繰り返しながら樹林帯に入ると1本道になり道を間違えていないことがわかった。歩くこと1.20 で5体の石仏座像が 並んでいる場所にに着いた、宿泊予定の小屋は目の前だ。 敬神ノ滝小屋は営業期間外で管理人がいないので小屋に入って自分の寝場所を確保する。 先着が3人すでに就眠していた。雑種犬は与えた食料を食べたあと、私のシュラフの近くで蹲り寝る体制をとっている。 朝6時出発、昨夜の犬も出てきて先に走っていくが、口笛を吹くとやっぱり戻ってくる。5合目金懸小屋には8時に着く、この小屋は 緊急避難のためで使用料は不要。5分休憩して歩きだす。玉の窪山荘は10:30 に着く、ここで門田製8本爪のアイゼンを装着した。温度計は -16度を指している。さすがに犬も寒いのか動きが悪くなり、休息で立ち止まるとすぐに側へ来て蹲る。30分で駒ヶ岳頂上に達した。 頂上には駒ヶ岳神社の祠があるはずだが雪で何も見当たらない。これが中央アルプスの盟主たる威厳に満ちた冬の姿だと納得した。 ガスが出て視界が悪く、ひどく寒いので、早々に下山に入る。登るときは8合目ぐらいまでずっと背後に圧倒的なボリュームをもった 御嶽山(3067m)の雄姿が見えて疲れた身体に一服の清涼剤になっていたが、いまは何も見えない、山の天気は女心のように目まぐるしく変わる。 一緒にきた犬も早く降りたがっている様子なので、計画どうり登ってきた道を降りトレースした。 敬神ノ滝小屋にデポした荷物はそのままだった。今夜もここで宿泊するので、犬の食い扶持も加えて夕食の支度をする。 この登山はもともと単独行の計画であったが、途中から道案内の犬が加わり、無駄口をきかない連れができたようでそれなりに楽しかった。 それにしても中央アルプスの案内犬とは… 案内犬は、一昨日突然現れた近くでどこかへ帰っていった。時間の余裕もあり、上松から歩いて近くにある名勝の「寝覚ノ床」を見学に行った。 奇岩の間で清流木曽川の水で炊飯、その昼食の美味しかったことがいまだに思い出される。 @ 上松→ 01.40 →敬神滝小屋(宿泊) |