四国八十八ヵ所霊場

Last Update: Dec. 13, 2009

四国八十八ケ所は、律令官僚への道に挫折した空海くうかいが同郷の戒明かいみょうから教えられた虚空蔵求聞持法を学んだとされる 大瀧岳(徳島)、室戸岬(高知)、石鎚山(愛媛)、善通寺(香川)など史実に明らかなところ、修験行者の修練地や補陀落渡海*1の出航地である足摺岬、室戸岬などを加えた88ヵ所のことで、 四国遍路とか四国霊場とよばれている。

虚空蔵菩薩
十一面千手千眼観音(香木造、重文)

*1 補陀落渡海について
玄奘げんじょうの『大唐西域記』によると補陀落ふだらくはインド南端のコモリン岬に位置すると記されている。 "補陀落"とはSanskrit語の "Potalaka" の音訳で、観音浄土を意味する。 『華厳経』の影響で、チベットや中国にも補陀落は想定された。チベットではラサ北西に建つポタラ宮、中国では舟山諸島の2つの島を補陀落とした。  日本においては南の海に補陀落があるとされ、その観音浄土への憧憬と思慕で船出することを補陀落渡海といった。
日本の補陀落の霊場は熊野那智、高知の足摺岬、栃木の日光、山形の月山などがあるが、記録に残された40件ほどの補陀落渡海のうち27件が那智で決行された。 那智での補陀落渡海の多くは11月、北風が吹く日の夕刻に行われた。渡海僧は当日、補陀洛山寺本尊の千手観音の前で読経などの修法を行い、続いて寺の隣にある三所権現(熊野三所大神社)を拝し、小さな渡海船に乗る。 渡海船上には入母屋造りの屋形があり、30日分の食物、燈油を携えて渡海僧が中に入ると外から板が嵌め込まれ釘を打たれた。 屋形の四方には各々鳥居があり、発心門、修行門、菩提門、涅槃門の四門で、仏心発念より成仏解脱の過程を表している。渡海船は伴船に曳航され、沖で切り離されて、あとは風まかせ潮まかせに朽ちて沈むまで漂流する。 補陀落渡海はいわば生きながらの水葬であり、自らの心身を南海にて観音に捧げる捨身行であった。

“吾妻鏡”の記述
彼乗船者、入屋形之後、自外以釘皆打付、無一扉。不能観日月光。只可憑燈、三十ケ日之程食物并油等僅用意…
渡海船(復元)

四国遍路の成立

平安時代には都から遠く離れた四国は辺地とよばれ、修験者の修行の場であった。空海の死後、修行僧達が空海の足跡を 辿ったり、西行法師が参拝した白峰御陵、一遍上人の業績跡などを歩いたようだ。
江戸時代には四国遍路の概念が成立したとされている。この時期には修行僧だけでなく一般庶民のあいだにも観光目的要素の多い遍歴をするようになった。 火付け役は1687年、真念が出版した「四国偏禮道指南」であり、88ヵ所に第1番から順番をつけた。これは今日のガイドブックであり、 庶民の間でベストセラーとなった。またこの時期、各地の篤志家によって手の形を刻んだ石造の道標が建てられた。
現代の四国遍路は、従来からの信仰に基づくもの、現世での利益を期待するものも多いが、信仰とは別に自分探しや癒しの歩き遍路(巡拝者)が増加しているといわれている。





真念著 “四国偏禮道指南しこくへんろみちしるべ
 ―おへんろ交流サロン所蔵―





Prajna Paramita Hrdaya (The Mantra of Prajna Paramita)
GATE GATE PARAGATE PARASAMGATE BODHI SVAHA !

【88ヶ所の詳細は寺名をクリックしてください】
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発心の道場修行の道場菩提の道場涅槃の道場
このホームページは唯物実証的な視点で、四国霊場の文化財や珍しいもの、観光資質としての四国遍路に重心を置きました。 したがって弘法大師*2信仰の要素は極力除外しました。
*2 空海の死後87年目(921.10.27)に醍醐天皇がつけたおくりな。 空海と弘法大師(信仰)は同一ではない。
  空海の名前の変遷;真魚まお(0〜18) →無空むくう →教海(20) →如空 →空海(22〜60)

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