1940年頃、航空機をより早く、より高く、飛ばせたいという要求がでてきました。これを満足させるには、従来のレシプロエンジンでは限界に近づいていました。このような状況のもとで、ガスタービンの一種であるジェットエンジンが注目をあびました。世界で最初にジェットエンジンを搭載して実用化したのはドイツの Me-262 戦闘爆撃機(Messerschmitt)でした。


ジェットエンジンの仕組み

ジェットエンジンは吸い込んだ空気をコンプレッサで圧縮して、燃料と混合し燃焼させることにより高温高圧ガスを発生させる。このガスを後部から噴射することで、推進力を出しています。現在実用化されているのは、構造的観点から3種類に大別されます。

Turbojet Engine

             ジェットエンジンの概要

  1. 前方から入った空気は、圧縮機で圧縮され燃焼室へ入る
  2. 燃料噴射弁から燃料を噴射して、空気と混合して燃焼する。 高温高圧ガスが発生する。
  3. 高温高圧ガスによりタービンが回転する(タービンには圧縮機を回転する軸が付いている)。
  4. 高温排気ガス中に燃料噴射して再燃焼させるアフターバーナがある(超音速戦闘機に用いられる)。
  5. 後部から噴出するガスによりより高度の推力が得られる。


Turbofan Engine

ターボジェットエンジンの圧縮機前面にファンを取付け、ファンで圧縮した空気を2分配して、1部は圧縮機を通って燃焼に廻り、1部はファンから直に、エンジン燃焼部側面を冷却しながら後方へ排出する。2分配の空気比率をバイパス比と言う。


Turbofan Engine

高バイパス比ターボファンエンジン。ファンで圧縮した空気の大部分を側面から後方に噴出して推進効率を高めている。主に民間航空機用エンジンとして使用されている。


Turboprop Engine

ターボジェットエンジンの後ろに出力タービンを付けて、この出力を前方の減速機に伝へ、プロペラを回転させている。燃料消費率が良いので中小型航空機に使用されている。また、同じような構造でターボシャフトエンジンがあり、主にヘリコプタ用エンジンとして使われている。


ジェットエンジン "ネ20"

第2次大戦中の1945年に完成した日本初のジェットエンジン。このエンジンは石川島重工業(現IHI )で製作されました。 中島飛行機(現富士重工業)が製作した戦闘機「橘花」に"ネ20" を2基搭載して、木更津飛行場で初飛行しました。


《参考資料》  IHI の先端技術 -------- 石川島播磨重工業株式会社広報部