Last Update: March 14, 2017Since: March 14, 2017
所在地 | 奈良県奈良市西ノ京町457 |
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山 号 | |
宗 派 | 法相宗大本山 |
本 尊 | 薬師三尊(国宝) |
文化財 | 国宝[東塔・薬師三尊像・聖観世音菩薩像ほか] 重要文化財 [南門・伝大津皇子坐像・休ヶ岡八幡宮ほか] |
国宝・麻布著色吉祥天像(奈良時代) 光明皇后を写したといわれ、日本最古の麻布に描かれた彩色画 |
薬師寺は興福寺と並んで法相宗の大本山である。薬師寺のある場所は "西ノ京" といい、平城京を朱雀大路で東西に分けた西の半分で右京全体を指していたが、現在は薬師寺、 唐招提寺のある界隈だけを指している。近鉄の西ノ京駅は薬師寺の旧境内にあるので、交通の便は近鉄の駅が最も利便性が良い。
薬師寺は、南都七大寺の一つであった。現在は白鳳伽藍と玄奘三蔵院伽藍の2つの伽藍を持っており、白鳳伽藍には金銅・東塔・西塔・東院堂・東僧坊・食堂があり、> 玄奘三蔵院伽藍 には玄奘塔・大唐西域城壁画殿がある。
縁起によると金堂は二重二閣、五間四面、瓦葺の建物で各階に裳階を付けており、龍宮造りと呼ばれていた。現在のものは、高田好胤師が晋山し、 百万巻写経勧進による金堂再建を提唱、全国に写経勧進に歩き、1976年4月に白鳳時代様式の本格的な金堂として復興した。
金堂内には白鳳時代の薬師三尊像(国宝)がある。中央に薬師瑠璃光如来、向かって右に日光菩薩、向かって左に月光菩薩が祀られている。
東塔(国宝)はストゥーパが音訳されて卒塔婆となり、それが塔婆、塔と表現されるようになった。薬師寺東塔は一見6重に見えるが、3重の塔で、これは各層に 裳階という小さい屋根があるためで、この大小の屋根の重なりが律動的な美しさをかもし出し「凍れる音楽」という愛称で親しまれている。薬師寺で唯一創建当時より 現存している建物で、1300年の悠久の時を重ねてきた。平成21年より解体修理に着手しており、現在は覆屋に覆われている。平成32年の6月頃に修理が完了する予定。
西塔は1981年に復興された。東塔と比較すると、まずその鮮やかな色に目を奪われるが、またそれは奈良を表わす色使いでもあるといえる。 塔の連子窓に使われている色を青色、扉や柱に使われている色を丹色と呼び、万葉集の一節に
"あおによし ならのみやこは さくはなの におうがごとく いまさかりなり" と歌われている事からも当時の平城京の華やかさを表現する意味も あったと思われる。
東院堂の聖観世音菩薩像(国宝・白鳳時代)は、心の目で見ることを観といい、色なき色を見、音なき音を聴く、これが "観" であるす。 この観の働きをもって私たちの悩みや苦しみや悶えを救うのが観音菩薩である。聖観世音菩薩は日本屈指の美しい姿態の観音さまといわれており、薄い衣を召し、その衣の美しい 襞の流れの下から足が透けて見える彫刻法は、インドのグプタ王朝の影響を受けたもの。
吉祥天女画像(国宝・奈良時代)は福徳豊穣の守護神として崇敬され、この吉祥天女の前で年中の罪業を懺悔し、除災招福を祈る、いわゆる吉祥悔過 の本尊として祀られている。この吉祥天像の姿は光明皇后を写したと伝えられ、麻布に描かれた独立画像としては、日本最古の彩色画である。
薬師寺の航空写真 |
薬師三尊(国宝・白鳳時代) 月光菩薩・薬師如来・日光菩薩 薬師如来は医王如来ともいう。 | 東塔(国宝・白鳳時代) 六重に見えるが三重塔 相輪の上に4枚の水煙がある。 水煙に24体の飛天が彫ってある。 | 東院堂(国宝・鎌倉時代) 1285年に現在地に再建され 板床を敷き東院禅堂という。 鎌倉時代に禅の影響をうけたようだ。 | 聖観世音菩薩(国宝・白鳳時代) 気品と端麗さが漂う姿態 繊細で美しい指の動き、 グプタ王朝の影響を受けている。 |
仲津姫命坐像(国宝) 平安時代初期の作、鎮守 八幡宮の神体として作られた。 | 南門(重要文化財) 室町時代後期の1512年に建築の門 切妻造、本瓦葺の四脚門。 もとは薬師寺西院の門。 | 休ヶ岡八幡宮(重要文化財) 宇佐神社から勧請され、 現在の社殿は1603年の建物 宮座がある歴史文化遺産。 | 若宮社社殿(重要文化財) 春日造、檜皮葺の社殿社 境内の南西端にある一間 休ヶ岡八幡宮の若宮。 |
金堂
各層に裳階を付けている。西塔
1981年に白鳳様式で復建された。
華麗な西塔と東塔が並ぶ日が
待ちどうしい。大講堂
正面41m、奥行20m、高さは約17m
の伽藍最大の建造物。南都仏教
の教学を重んじた講堂。玄奘三蔵院伽藍
法相宗の始祖・玄奘の舎利として
奉安している。須弥壇には
玄奘訳経像を祀っている。
薬師三尊(国宝・白鳳時代)
薬師如来を中央にして、向かって右が日光菩薩、左が月光菩薩の並びになっている。薬師如来は東方浄瑠璃浄土の教主で、医王如来ともいい、私たちの身と心の病気を 救ってくれる。脇侍の日光菩薩・月光菩薩は動きのある美しい姿で、理想的な写実美を完成している。世界でも最高の仏像といわれている。
【参考文献・データ】
- 白鳳文化研究会編『薬師寺白鳳伽藍の謎を解く』 冨山房インターナショナル 2008
- 大橋一章『薬師寺』(日本の古寺美術4) 保育社 1986
- 町田甲一『大和古寺巡歴』 講談社学術文庫 1989
- 奈良薬師寺『http://www.nara-yakushiji.com/index.html』 Yakushiji Temple Official Web Site 2016
- 東野治之『国宝薬師寺展』 東京国立博物館 2008
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