Last Update: March  09,  2018
Since: March  07,  2018

    宇和島市の中心地から三浦半島に向かうと、起伏に富んだリアス式の海岸線が目に飛び込んでくる。車で約40分、宇和海に飛び出すように突き出た岬の斜面、 紺碧に輝く海際から尾根筋にいたる一面に古の城壁を思わすような石垣の段々が現れる。
“耕して天に至る” と形容される段畑だんばた。幅・高さとも1m ほどの石垣が海面付近から尾根の頂まで続いている。 人々が苦労して急な山の斜面をきり拓いてきた歴史の重み、壮観な造形の美に圧倒される。水荷浦みずがうらの段畑は、眼前に広がる 宇和海の美しさと合わさって、まさに絶景。「日本農村百景」に選ばれており、2007年7月には全国で3例目の《国の重要文化的景観》に選定された。
水荷浦とは、水に乏しく生活水を担い運んできたことに由来する名で、目をみはる景観は斜面に沿うように開墾された段畑で、麓に降りれば、 数10世帯の家々が軒をひしめき合うように立ち並び、山と海とに生活の糧を求めて懸命に生きる人々の生活臭が感じられる。

DANBATA in Yusu Mizugaura
In the terraced field of Yusu Mizugaura there is a stone wall about a meter high and a meter wide.
Because of its beauty this wall which flows gracefully from the top of the mountain has been selected as an important national cultural site.



遊子水荷浦の段畑 (2018.03.07撮影)




宇和島市三浦半島の遊子水荷浦



段畑 @段畑 A段畑 B
段畑 C段畑 Dジャガイモが育っている
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薬師堂

五輪塔

水道設置の碑



水荷浦は古くから水ヶ浦とも併記されていた。居浦と牛ヶ坂浦の境界となる尾根筋の中腹に薬師堂がある。薬師堂の前にある古塔群は、中浦なかんだ から掘り出されて運ばれてきたといわれている。この古塔群は年代を特定できないが江戸時代以前のものであると思われる。 伝承によれば、薬師堂や西海寺(浄土宗)は深浦から中浦にかけてあったとされている。西海寺は薬師堂の近くにあり、正保年間(1644〜47)の創建といわれている。 薬師堂は、西海寺より古くからこの地にあったと記録に残っている。
検地帳の地名によると「ゆるかごえ」・「田の浦」・「小田の浦」・「越の鼻」・「松の下」・「吉日」・「どうまえ」・「あらあじろ」・「二つばえ」・「大はえ」・ 「かにのうら」・「居浦」・「牛ヶ坂」・「下浦」・「中の浦」・「泉ヶ浦」・「深浦」・「とうちんころばし」が記録されている。
石垣工事が始まったのは明治中期で、養蚕目的であった。石垣造りの技術は、明浜町高山の石灰掘りに出稼ぎに行った人が持ち帰ったといわれ、石垣用の石を割る ノミ類は、石灰掘りに使われた物が用いられた。水荷浦は耕土が浅く、少し掘るとすぐ岩が露出し、石は比較的容易に手に入ったと思われる。






    [参考資料]
  1. 段畑を守ろう会 『遊子水荷浦の段畑ガイド』 ― http://www.danbata.jp/ ―   2018
  2. 農林水産省 『遊子水荷浦の段畑 −「耕して天に至る」−』 ― http://www.maff.go.jp/j/nousin/sekkei/museum/m_keikan/yusu/ ―   2018
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