Last Update: September 12, 2017Since: August 12, 2017
香川県には風穴が二ヶ所ある。一つは高鉢山の中腹380m付近にあり、他方は志保山の中腹165mにある。 風穴の仕組みは、火山の溶岩が流出するときに表面は早く冷えて固まるが、溶岩の内部は表面に比べて高温で溶融しており流動状態になっている。 内部の流動層が抜け出た跡は空洞になる。
地中の空洞は溶岩トンネルを形成し、空気の対流が生じる。また、崩落した讃岐質安山が崖錐堆積して複数の地表 との開口部で結ばれて風穴現象が起きる。夏季に吹き出す冷風は、崖錐などの上部から温風を吸入して風穴内で冷却され、冷たく重い空気となって下降し 冷風穴から吹き出す。冬季には、風穴内の空気は外気に比べて暖かく軽いので上昇して上部の開口部から吹き出す。
夏季の吹き出し温度は、7〜12℃が測定され、冬季には地表の冷気を吸い込んで風穴のある場所より上部の急傾斜面で15℃近くの温風を排出している。
全国の主な風穴は… ・富岳風穴:山梨県富士河口湖町 ・荒船風穴:群馬県下仁田町 ・稲核風穴: 長野県松本市安曇稲核
・秋芳洞:山口県美祢市 ・笠山風穴:山口県萩市明神池 …などがある。
志保山風穴のルート図/航空写真 |
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Track-Log by Garmin [etrex VISTA HCx] |
名 称 : 志保山風穴 標 高 : 165m 場 所 : 三豊市仁尾町仁尾 見 学 : 2017.08.11
[志保山風穴登山口〜志保山風穴] 登山口 →00:08→ 志保山風穴 |
[志保山風穴〜志保山風穴登山口] 志保山風穴 →00:05→ 登山口 |
駐車場 | 登山口 | 風穴への道 | 風穴への指標 | |||
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風穴 | 風穴 | 風穴 | 風穴 | |||
志保山風穴の全体 | 志保山風穴の内部構造推測図 |
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メノウ化した珪化木 (sample) |
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Comment: 志保山(426m)の中腹、標高165mにある風穴で讃岐岩質安山岩が崩れ、溜まった崖錐堆積物中に空洞が生じたため、 冷風(10℃)が吹き出していると考えられる。なお、空洞内部を通る冷風の取入れ口は不明であるが、尾根の東側と推測されている。
この風穴は明治40年代に発見されて、養蚕飼育に使用されていた。産業構造の変化とともに廃棄されて荒廃埋没していたが、最近になって 真鍋正和さん(三豊市仁尾町仁尾)が再発見して、風穴の再構築、見学登山路の整備をした。 間口約4m、奥行き約4m、全体の高さ約7m。風穴室の石垣は凝灰岩を用いているが、凝灰岩を切り出した石切り場は風穴から徒歩10分の標高230mのところに 凝灰岩を切り出した跡があり、ノミの痕跡がある。
この凝灰岩は、1400万年前の瀬戸内火山活動で噴出した凝灰岩の上に凝灰角礫岩が堆積した。凝灰角礫岩には珪化木 (樹幹が地中に埋もれ、SiO2・nH2Oなどにより蛋白石または瑪瑙化したもの)が産出されることがある。
現在、屋根がないオープン状態にもかかわらず吹き出す温度は真夏でも15℃前後を保っている。これは外気吸気口と冷風吹き出し口の距離がかなり長い と考えられる。風穴は、産業文化遺産としても貴重なものであり後世への贈り物としても大切に保存していきたい。
名 称 : 高鉢山風穴 標 高 : 380m 場 所 : 香川県綾歌郡綾上町西乙472-5 見 学 : 2017.07.30
[高鉢山風穴登山口〜高鉢山風穴] 登山口 →00:02→ 高鉢山風穴 |
[高鉢山風穴〜高鉢山風穴登山口] 高鉢山風穴 →00:01→ 登山口 |
キャンプ場 | 登り階段 | 風穴の屋根 | 風穴の入口 | |||
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風穴 | 風穴内部(水蒸気ミストが発生) | 風穴内部の温度(7℃) | 風穴の石垣 | |||
水蒸気ミストが吹き出している | 高鉢山風穴の MECHANISM |
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高鉢山風穴の案内図 |
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Comment: 高鉢山は標高512mあり、山麓は花崗岩に覆われているが420mあたりから山頂にかけて讃岐岩質安山岩が分布している。 風穴は西山麓の380m付近にあり、讃岐岩質安山岩が滑り落ちてできた半円錐状の崖錐堆積物の中にできている。 風穴の仕組みは、高鉢山の東側にあるゴーロ(石がごろごろと堆積した場所)から夏季に温風が吸い込まれて崖錐堆積物中を通過するときに冷却されて、南側の風穴から冷風が吹き出して いる。この風穴は室の上部に屋根があるため、室内部の温度は10℃〜12℃に保たれている。石垣に温度計を差し込んで測定すると、7℃を示した。
高鉢山の岩石構造は基部に花崗岩、標高400〜440mに凝灰岩類、440m以上には讃岐岩質安山岩となっている。風穴の近くにある岩屑の間からも冷風が出ている。 冬は風穴から外気(冷風)を吸い込んで東側にあるゴーロから温風が噴き出している。
風穴の室は当初のものは1913年(大正元年)に、県補助金で風穴の周りを高い石垣で囲んだ白亜の殿堂が建てられて、蚕卵紙・ウド・豆などの農産物の 貯蔵所として利用された(綾上町誌 1978)。
名 称 : 世坂風穴 標 高 : 322m 場 所 : 善通寺市吉原町 見 学 : 2017.09.02
[出釈迦寺駐車場〜世坂風穴] 駐車場 →00:18→ 柳の水 →00:10→ 世坂風穴 |
[世坂風穴〜出釈迦寺駐車場] 世坂風穴 →00:08→ 柳の水 →00:12 → 駐車場 |
出釈迦寺駐車場 | 奥ノ院禅定参道口駐車場 | 手水場 | 柳の水駐車場(標高283m付近) | |||
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世坂風穴 | 世坂風穴 | 参道の降り | 捨身ヶ岳遥拝所 | |||
世坂風穴ルート図 | 地質断面模式図 |
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Comment: 我拝師山の標高322m付近に世坂風穴がある。急な参詣路の山側側面を安山岩で石垣を築いており、 我拝師山の北斜面に岩盤崩壊が発生し、崩落した岩塊および土砂からなる崖錐堆積が形成され、讃岐岩質安山岩の崖錐堆積物の中を風が通り抜けていると 考えられ、石垣の隙間から冷風が吹き出している。
志保山風穴や高鉢山風穴と異なるのは、風穴の冷蔵所を作って蚕種や穀物を貯蔵した形跡が見当たらない。場所的に交通の不便さや、冷風の温度管理が うまくできないのではないだろうか(崖錐堆積物の量が少なくて?)。
名所旧跡案内 Miyoshi's HP