Last Update: Oct. 20, 2016
所在地広島県尾道市東久保町20-28
山 号転法輪山てんぽうりんざん
宗 派真言宗泉涌寺派
本 尊十一面観音菩薩 On Mani Padme Hum
文化財国宝 [本堂 多宝塔] 重要文化財 [阿弥陀堂 方丈等6棟 木造十一面観音立像 宝篋印塔]


浄土寺縁起によると、飛鳥時代の616年に聖徳太子の開基と伝えられている。その後いく世相の変遷があったが、鎌倉時代(1192〜1332)に再興された 尾道を代表する古刹こさつの一つである。境内には本堂、多宝塔や阿弥陀堂などの中世建築と方丈などの近世建築がよく残っており、 また南北朝時代の宝篋印塔・石造物や重要文化財も多数あり、歴史をたどる寺院として貴重な存在である。
本堂には十一面観音菩薩立像(本尊・秘仏)、阿弥陀堂には阿弥陀三尊が祀られている。十一面観音菩薩立像は、9月18日〜11月20日の期間に開帳されている ので拝観することができる。

浄土寺の地図・航空写真


国宝(多宝塔 本堂)

多宝塔本堂
多宝塔(国宝)本堂(国宝)

多宝塔は、鎌倉時代末期の嘉暦3年(1328)に建立され、大日如来及び脇侍が安置されている。内部は彩色が施されており、壁面には真言八祖が描いてある。 この多宝塔は規模が大きく全体のバランスがとれている。金剛三昧院や石山寺の多塔宝と並ぶ素晴らしい塔である。 蟇股かえるまたの装飾は、牡丹・唐草に蝶の透かし彫りをした華麗さがあり、鎌倉時代末期の代表的な建築とされる。


重要文化財

阿弥陀堂(重要文化財)
方丈(重要文化財)
庫裏・客殿(重要文化財)
庭園・露滴庵(名勝・重要文化財)
唐門(重要文化財)
山門(重要文化財)
宝篋印塔(重要文化財)
納経塔(重要文化財)
足利尊氏の供養塔(重要文化財)

宝篋印塔は貞和4年(1348)10月1日に、沙弥行円など4名の逆修ぎゃくしゅや光孝らの追善のため造立された。形態は、 格狭間こうざまがついた基礎に反花かえりばながあり、金剛界四仏の種字をきざんだ塔身を建てている。 隅飾の耳には八方天を種字で現しており、格狭間に造立の趣旨が刻んである。
  納経塔は弘安元年(1278)10月、尾道の富商・光阿吉近が父の光阿弥陀仏の供養に建てた。塔身に胎蔵界四仏の種字を刻み、法華経・浄土三部経・ 梵網経ぼんもうきょうなどを奉納したもの。基礎に格狭間をつけ、塔身の上に高欄を設けるなど整備した形を示しているが、 笠の上に露盤をおき請花・宝珠にしてあることは古調で、大きい基壇とあいまって重厚豪快である。鎌倉時代(1192〜1332)の石造宝塔の中では年代が 古く、形態もよく整っている。


仏像・絵画

十一面観音菩薩
(重要文化財)
木造聖徳太子立像
(重要文化財・院勢作)
阿弥陀三尊
(県重要文化財)
大日如来
(県重要文化財)
仏涅槃図
(重要文化財)
金剛界曼荼羅図
(重要文化財)
方丈の間
源氏物語絵扇散屏風
(市重要文化財)

文化財



        国宝;
        ・本堂(附:厨子、棟札2枚、境内図2枚) - 嘉暦2年(1327年)の建立。入母屋造本瓦葺き。和様を基調として大仏様、禅宗様の
                                                        細部を取り入れた中世折衷様仏堂建築の代表作。
        ・多宝塔                  - 嘉暦3年(1328年)建立の和様の多宝塔。鎌倉時代末期の建立年代が明らか。													


       重要文化財;
        ・山門                    - 室町前期          
        ・阿弥陀堂                            - 貞和元年(1345年)
        ・納経塔                              - 弘安元年(1278年)
        ・宝篋印塔                            - 貞和4年(1348年)
        ・宝篋印塔(足利尊氏供養塔)          - 南北朝時代
        ・方丈                                - 元禄3年(1690年)
        ・唐門                                - 正徳2年(1712年)
        ・庫裏及び客殿                        - 享保4年(1719年)
        ・宝庫                                - 宝暦9年(1759年)
        ・裏門                                - 江戸時代
        ・露滴庵                              - 江戸時代
        ・絹本著色仏涅槃図
        ・絹本著色両界曼荼羅図 附:旧軸木2本(文保元年(1317年)2月益円の銘)
        ・木造十一面観音立像                  - 平安後期 本堂の本尊で「身代わり観音」
        ・木造聖徳太子立像                    - 院憲作 乾元2年銘(1303年)
        ・木造聖徳太子立像                    - 暦応2年銘(1339年)
        ・木造聖徳太子立像(南無仏太子像)    - 院勢作 建武5年銘(1338年)
        ・孔雀鎗金経箱                        - 延祐2年銘(1315年)
        ・孔雀文沈金経箱
        ・観世音法楽和歌                      - 建武3年5月5日足利尊氏の証判がある
        ・定証起請文                          - 嘉元4年(1306年) 附:同案文(残簡)
        ・浄土寺文書(11通)1巻 寺領注文      - 建武4年10月□日  足利尊氏寄進状ほか9通
        ・紺紙金銀泥法華経 巻第7              - 天暦3年奥書(949年)

       県指定文化財; 
        ・絹本著色弘法大師絵伝
        ・絹本著色如意輪観音像
        ・絹本著色千手観音像
        ・絹本著色浄土曼荼羅
        ・絹本著色釈迦八相図
        ・絵馬
        ・木造文殊菩薩坐像
        ・木造阿弥陀如来坐像
        ・木造大日如来坐像 金剛界 附:台座
        ・木造大日如来坐像 胎蔵界 附:光背
        ・木造千手観音立像
        ・銅製鰐口
        ・鉄製燈籠
        ・太鼓
        ・法華経版木
        ・梵網経版木
        ・浄土寺文書

浄土寺境内マップ

境内にある文化財

一石彫り石碑
碑文:頼山陽
護摩堂
露滴庵
(重要文化財)
丹生神社
文殊堂
子安堂


【参考文献・データ】
  1. 朝日新聞社『週刊朝日百科 日本の国宝』29号   1997
  2. 広島県立歴史博物館 『尾道・浄土寺の寺宝展 ─瀬戸内の精華─』  2015
  3. 浄土寺『国宝の寺 浄土寺』  2016
  4. 浄土寺HP『http://www.ermjp.com/j』   2016