Last Update: May  27,  2018
Since: May  01,  2018

    弥谷山は香川県西部に位置する標高 381.5m の山である。天霧山などと連なった山で、中腹には四国霊場第71番札所の弥谷寺がある。弥谷寺があるこの弥谷山南斜面に 弥谷山自然環境保全地域が広がっている。
弥谷山の頂上付近では讃岐岩質安山岩(両輝石安山岩)が急斜面を形成しており、その下の標高約100-250mには火山礫凝灰岩〜凝灰角礫岩が分布し、標高約100m以下の 基盤は花崗岩類から構成されている(図2)。 弥谷山の南斜面は大規模な崩壊跡で、その中腹に弥谷寺がある。弥谷寺は凝灰岩類の採掘跡を利用して建てられ、凝灰岩をくり抜いた洞穴、弥谷寺本堂に至る岩壁に 鎌倉時代に刻んだ磨崖仏や多数の五輪塔などがある。
この一帯は、県の自然環境保全地域に指定されており、県の保存木であるバクチノキが弥谷寺の境内にある。また、周辺の緑は、ヤブツバキ、クスノキ、アラカシ、 ナナメノキ、ウバメガシなどの多種の樹木群落があり、すばらしい自然環境をつくっている。

Iyadani-yama is a mountain of 381.5m above sea level to be located in West Kagawa. In Amagiri-yama and the mountain which ranged, there is the Iyadani temple of the Shikoku hallowed ground 71st bill place in the halfway up a mountain. Iyadani natural environments maintenance area spreads out on the this Iyadani-yama south slope with the Iyadani temple. In the south slope of the Iyadani-yama, there is Iyadani temple in the halfway up a mountain with a large-scale collapse trace. The Iyadani temple is built using goaf of tufa, and there are the image of Amidasanzon (Amitabha and two attendants) or the Gorinto-tower(five-ring pagoda) which I chopped on a cave and the rock face which dug out tufa.



皿池から撮影した黒戸山・弥谷山 (2018.04.30)




弥谷山 (標高 381.5 m )
GARMIN VENTURE HC による route map



名 称弥谷山
標 高381.5 m
場 所三豊市三野町
探 索2018.04.30




コースタイム
[弥谷寺山門〜弥谷山]     弥谷寺山門 →00:07→ 大師堂 →00:13→ 天霧城跡分岐点 →00:10→ 弥谷山山頂
[弥谷山〜弥谷寺駐車場]    弥谷寺駐車場 ←00:12← 皿池 ←00:22← 久保谷下山路入口 ←00:15← 五岳山展望所 ←00:08← 弥谷山山頂


弥谷寺の山門石に刻印された五輪塔弥谷山と天霧山の分岐点
弥谷山登山路弥谷山登山路弥谷山の山頂
黒戸山への尾根道黒戸山への尾根道黒戸山の山頂
画像を "click" すると拡大画像が表示できます


【弥谷参り】
 人が死ぬと、その霊は村里の近くの岩山に登るという信仰がある。こうした信仰のある山には寺が設置され、その寺自体あるいは寺の背後の山が死霊の行く 山として考えられるようになった。そのような寺は岩山が多くあるところで、後世になって山伏の修行する山となった。死霊が早く清められるためには 岩石の聳え立つ山がふさわしいと考えた。おそらく郷から眺めて秀麗な山であったら、死霊が行くのにはどこででもよかったのであろうが、修験道の発達とともに岩山で 荒行するものが多くなるにつれて、岩山のみが死霊の行く山として残ったと考えられる。
弥谷山と弥谷寺は昔から死霊が行くと信じられており、弥谷のイヤは、恐れ慎むとの意味で、敬うのウヤ、オヤなどと同義の言葉である。 弥谷寺への道は、仁王門から大師堂まで行く途中の参道横には賽の河原と呼ばれており、地蔵や千手観音像、弘法大師の石像が建ち並んでいる。 弥谷寺には古くから“弥谷参り”の風習がある。人が死ぬと、死者の霊をこの山に伴っていくことを弥谷参りという。死後7日目、49日目、1周忌(むかわれ)、 彼岸の中日などに死者の毛髪や骨片、野位牌などを持って行く。死者と血縁の濃い者が4〜6人など偶数の人数で行く。偶数で参拝する意味は、帰りに死者の霊がついて くるのを防ぐためである。
弥谷寺へ行く前に郷の墓へ寄り「弥谷へ参る」と声を掛けてから、その内の一人が後ろ向きになって死者を背に負う真似をする。そして弥谷寺へ着くと洞窟の中へ 毛髪や骨片を納め、野位牌を洞窟の前に置き、水を掛け背負ってきた死者の霊を降ろし、振り返らず帰路に就く。下山途中、仁王門の下にある俳句茶屋に立ち寄り 簡単な会食をする。郷の家に着いたら本膳で会食をする習わしがあった。






     
獅子之岩屋内の石仏

阿弥陀三尊磨崖仏

岩壁に陽刻された五輪塔



【弥谷寺】
弥谷寺は四国霊場第71番札所であり、山岳霊場の一つである。山門から緩い石段を、更に赤い手摺のある108段の階段を登ると大師堂に着く。大師堂の奥殿に 「獅子之岩屋」といわれている洞窟(凝灰岩の採掘跡)がある。入口が獅子の口に似ていので、こう呼ばれるようになった。 洞窟の奥には真ん中に大日如来、その両脇及び北東壁面に地蔵菩薩が刻まれている。
本堂への途中にある岩壁に阿弥陀三磨崖仏(左から勢至菩薩、阿弥陀如来、観音菩薩)や無数の五輪塔が陽刻されている。阿弥陀三尊の前には巨大な五輪塔 があり、生駒一正の石塔といわれている。
阿弥陀三尊磨崖仏は、貴峰山とみえやまの山頂を焦点としたブロッケン現象(Brocken Gespenst)で、観無量寿経の御来迎ごらいごう と考えられる。

【黒戸山】
弥谷山から西南方向への稜線つたいに進めば黒戸山に着く。途中にはアップダウンが何回かあり、更に四電の鉄塔に幾つか出あう。ウバメガシの落葉が敷き詰めた 道が続き、なんの変哲もなく感動も起こらない。
下りは久保谷ルートをとった。花崗岩が露呈した急坂に車石が多く、足許が定まらない。最後は皿池に出た。このコースは危険でお勧めできない。


19世紀中頃の名所図会・弥谷寺中院境内配置図




    [参考資料]
  1. 弥谷寺       『弥谷寺公式HP』 ― http://www.geocities.jp/ryogot1010/ ―   2018
  2. 四国八十八ヶ所霊場会 『剣五山千手院 第71番札所 弥谷寺』 ― http://www.88shikokuhenro.jp/kagawa/71iyadaniji/ ―   2018
  3.