Last Update: March  03,  2018
Since: February  24,  2018

    三豊市豊中町上高野の小さい台地にある円墳。現在は延命院勝楽寺境内の南側に位置しており、土地の人はこれを『延命の塚穴』と呼び、“昔は火が降ったら ここに避難した”と言い伝えられている。
古墳のすそ周りは約 50m 、高さ 4.2m 。古墳の頂上には宝篋印塔ほうきょういんとうが建てられており、古墳の周りには墓標や石仏が 並んでいる。これらは後世になって祀られたもので、大平洋戦争に散華した兵士のものも混在している。 古墳の入口は南に開き、その高さと幅は共に 1.2m で、人が容易に出入することが出来る。羨道せんどうの入口から玄室までの長さは 1.8m 。玄室の奥ゆきは 2.35m 、 幅 2.5m 、高さ 2.7m 。奥璧には巨大な石がすえ付けられている。
石室の構築に使われている石材は大部分が自然石の花崗岩であるが、いくつかは七宝山系から運んで来たと思われる安山岩も混じっている。 天井には巨大な3枚の岩石がはめ込まれており、これらのことから古墳の主の社会的地位がかなり高かったと思われる。この古墳は、立地条件からして 模式的であり、石室は包丁式で、巨石の配置の見事さ、整備された構造などから古墳として上位ランクに属すると考えられる。



墳頂に宝篋印塔がある [延命古墳] (2018.02.24撮影)




三豊市豊中町上高野の延命院勝楽寺



墓標・石仏延命古墳(1)延命古墳(2)
石室の内部石室天井の巨石石室の花崗岩
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参道の蝋梅1

参道の蝋梅2

延命院山門

延命院本堂

一の字由来の説明板

一の字石碑



延命院は、豊中町上高野858の小高い丘の上にある。由緒では、弘法大師の開基とされている。四国讃州七福神の一つで、世の中のあらゆる 障害を退散させる毘沙門天を祀っている。正式には七宝山延命院勝楽寺しょうらくじという。境内にある駐車場や山門への登り参道には 蝋梅ろうばいの木が多数植えられており、花の時期(1月下旬〜2月下旬)には蝋細工のような黄色の花が咲き、観賞する人の目を楽しま せてくれる。
境内は広く、山門を入った前方に本尊の釈迦如来、脇侍に普賢延命菩薩と胎蔵界大日如来を合祀した本堂がある。 本堂の前方には、“一”の字をはめ込んだ石碑がある。菅原道真が国司として讃岐に来た時、この地に立って農業の様子を視察し、五穀豊穣を祈って一の字を 奉納したといわれている。一の字由来の表示板によると、“一”は物事の初め、または全体を知るの意味があり、古来よりこの一と縁を結べば諸願成就し 開運富貴の身になるといわれている。山門の左側奥には豊姫神社があり、神仏混淆の様子が見られる。
略縁起・寺史によると、天正年間、長宗我部元親の兵火にあい灰塵に帰した。その後、再興され 1587年に国主生駒親正は讃岐 15ヶ院(真言宗)を設定して、 延命院勝楽寺と号し、古刹の保護に努めたと記されている。

* 大黒天(善性院;三豊市詫間町詫間)  吉祥天(吉祥院;三豊市仁尾町仁尾丁)  布袋尊(宝珠寺;観音寺市高屋町)
   毘沙門天(延命院;三豊市豊中町上高野)  南極福神(密蔵寺;三豊市財田町財田中)  弁財天(萩原寺;観音寺市大野原町萩原)
   恵比寿(宗林寺;観音寺市豊浜町和田浜)


  
豊姫神社
庫裏前の紅梅・白梅
庫裏前の紅梅・白梅(紅白の接木)


蝋 梅
中国原産の落葉低木で、花の少ない真冬に花を咲かせる。透き通るような質量感と鈍い光沢があり、蝋細工のような花弁と芳香が漂う特徴がある。 花弁は外側が黄色で内側部分が茶褐色であるが、一般に出回っているのは、すべての花弁が黄色であるソシンロウバイやその園芸品種。
日本には江戸時代に渡来し、庭木や生け花として親しまれている。開花の時期は早生種で12月頃、晩生種では2月頃。花色は種によって濃淡の色幅がある。 花弁の形状は丸いものや細いものなどある。花は葉の出る前に咲き、花が咲いた後に楕円形の果実ができる。 名前は中国名の臘梅(ラーメイ)を日本語読みしたとも、花の質量感が蝋細工に似ている、唐梅(唐からきた梅)など諸説がある。
                ・科名:ロウバイ科   ・学名:Chimonanthus praecox   ・別名:カラウメ





    [参考資料]
  1. 三豊市ホームページ 延命古墳 ― http://www.city.mitoyo.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=460 ―   2018
  2. 三豊市ホームページ 讃州七福の寺 延命院 ― http://www.city.mitoyo.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=1325 ―   2018
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