Last Update: Oct. 01, 2013

   熊本県山鹿市には全国的に有名な装飾古墳がある。この古墳は、全長 55m(後円部径 23m、高さ 7m、周濠がある)の前方後円墳で、 玄室内の石屋形いしやかた(長さ 2.3m、奥行き 0.9m、高さ 1.45m)の石壁面に幾何学模様の装飾色彩画が描かれている。
この一帯は、山鹿市立博物館を中心に「肥後古代の森」を形成しており、近くにはオブサン古墳がある。
チブサン古墳は6世紀前半に築造されたもので、幾何学模様の装飾絵柄が女性の乳房に似ているところから「乳房の神」として信仰されており、いつしか 「チブサン」になったといわれている。

なだらかな流線形を描く [チブサン古墳] (2013.09.22)




コースタイム
山鹿市立博物館→ 2min →大坪眼鏡橋→ 10min →チブサン古墳→ 5min →オブサン古墳→ 2min →古墳の森→ 10min →山鹿市立博物館

肥後古代の森



チブサン古墳(1)チブサン古墳(2)「ココガチブサン」の石碑
石室への入口石屋形の装飾壁画石屋形のレプリカ
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チブサン古墳は、山鹿市じょう西福寺さいふくじにある装飾古墳で、周濠しゅうごうを有していた主軸の全長 55m の 前方後円墳である。所在地は岩野川に臨む台地の東端にある。
チブサン古墳概念図 墳裾に円筒埴輪はにわ列が並び、葺石ふきいしもみられた。羨道は後円部の南側にあり、前室・後室の複数の 横穴式石室を設けている。 後室の奥に南側を開放した凝灰岩製の石屋形がある。石屋形の内壁石と天井の一枚石軒部前面に装飾文様が描かれている。内壁石の上段には白の円文様 7個、 下段に冠をつけ両手両足を広げた人物像とその右に三角文様を白色で、その他は赤色で塗ってある。 正面の側壁石に三角文様・菱形文様を主体に正面中央に円文様を描き、赤・白・黒の3色で塗り分けている。
壁面中央に描かれている装飾の紋様が女性の乳房に似ていることから、「乳房の神」として信仰されていた。この古墳は江戸時代から開口していたらしく、 副葬品などは残っていなかった。

石屋形概念図




  • ちぶささん → ちぶさん → チブサン
  • 顔料(石屋形の色彩材料)
    •  (Fe2O3  酸化第2鉄)
    •  (Al4Si4O10(OH)8  カオリン粘土)
    •  (MnO2  二酸化マンガン)





           
オブサン古墳1
周濠がある円墳、玄室は前後に2部屋をもつ
オブサン古墳2
石壁の一部に赤い装飾文様が残る
西福寺磨崖仏
凝灰岩に彫られた1369年記銘の聖観音像
鍋田横穴群1
61基の横穴墓があり16基に装飾がある
鍋田横穴群2
弓を持つ人などが陽刻されている27号墳
大坪眼鏡橋
吉田川に架けられていたものを移設した



・オブサン古墳は、周濠をもつ円墳で、南側に羨道・玄室(前室と後室)がある横穴式石室である。発掘調査により後室に 石屋形があったと思われるが、跡形もなく壊されていた。石室の一部に赤色の装飾文様が残っていることから、もとは彩色 豊かな模様があったと想像される。この古墳は「安産の神」として信仰されていた。 1877年の西南戦争による弾痕が石室入口に残っている。

・鍋田横穴群は、約1400年前に作られた群集墓。鍋田には阿蘇山の噴火でできた凝結熔解岩が露頭しているところがあり、 人々はここに横穴を掘って、墓とした。鍋田27号横穴慕の左外壁には、人物、弓、盾、馬、ゆぎ などが浮き彫りされている。

・西福寺磨崖仏は、チブサン橋に近い中世の禅寺の跡とされているところで、楠と椋の根元にある崖面に2体陽刻されている。 右面は聖観音菩薩像で左面は地蔵菩薩像である。聖観音菩薩像には1369年の記銘があるので、この時代の刻造と思われる。

  • 産さん → うぶさん → オブサン


    [参考文献]
  1. 山鹿市教育委員会 山鹿市の指定文化財 ―ふるさとの文化財―  2011
  2. 山鹿市立博物館   肥後古代の森 山鹿地区 散策マップ
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